障害を持っている場合は障害のない人と違ってオープン就労という選択肢があります。
オープン就労とは自分が障害を持っていると会社に公開して働くことですが、オープン就労を選ぶことでどのようなメリットがあるのでしょうか?
そこでオープン就労を選ぶメリットやデメリットを紹介していきます。オープン就労とクローズ就労のどちらを選ぶべきなのかも解説しているので、悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
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オープン就労のメリット3選
オープン就労すると以下のメリットがあります。
- 仕事の業務において配慮してもらえる
- 通院や服薬のタイミングを配慮してもらえる
- 障害を隠す必要がないので精神的に楽
では3つのメリットを解説していきます。
メリット1.仕事の業務において配慮してもらえる
オープン就労になると会社に障害を公開することになります。障害を持っていると知った企業は、障害に配慮した業務を用意してくれるでしょう。
たとえば、障害を持っていても十分に行える負担の軽い仕事を優先的に回してくれることもあります。そのうえ、周りの人も気にかけてくれる可能性が高いので働きやすいでしょう。
また、職場によってはその日の体調に合わせた就労も可能です。障害を持っている方の中には、体調が安定しない人もいるでしょう。昨日は調子が良かったのに、今日になると思うように体が動かないということもあります。
オープン就労を選べば、体調不良の日は時短勤務を選んだり、早退したりすることも可能です。
障害に対する配慮を受けると無理なく働けるので「この会社でずっと働いていたい」のように感じることもあるでしょう。
メリット2.通院や服薬のタイミングを配慮してもらえる
オープン就労を利用すると、通院や服薬など障害に関する融通がききやすくなります。障害の症状によっては体調を安定させるために薬を飲まなければいけません。薬を飲んで自分の体調を安定させた方が良いとわかっていても、仕事を優先してしまうこともあります。
しかしオープン就労を選ぶことで、仕事の途中であっても自分の体調を優先できるので、障害を持つ人にとっては大いに助かるでしょう。
メリット3.障害を隠す必要がないので精神的に楽
障害をオープンにすると周りの人に障害を隠す必要がありません。たしかに障害をオープンにすると、自分が障害を持っていると知られるデメリットもあります。障害に対するイメージが良くない人も一定数いるので、人によってはつらいと感じてしまうでしょう。
しかしその一方で、障害を隠さないというだけで気持ちが随分と楽になります。そのうえ、障害について配慮してもらえるメリットも大きいので、オープン就労を選ぶメリットは十分に魅力的だと言えるでしょう。
オープン就労のデメリット
オープン就労には3つのメリットがありましたが、以下のデメリットもあります。
- 障害者枠で入社した場合は給料が低い
- 求人数が少なく職種も限られる
続いて2つのデメリットを詳しく紹介していきます。
デメリット1.障害者枠で入社した場合は給料が低い
オープン就労になると障害者枠を利用できるようになります。障害者枠とは、障害を持たない人は利用できない障害者専用の雇用枠です。応募者が限られるので、ライバルが減るというメリットがあります。
しかし、「平成30年度障害者雇用実態調査」によると障害者枠の給料は低いです。
- 身体障害者:約21万5000円
- 知的障害者:約11万7000円
- 精神障害者:約12万5000円
- 発達障害者:約12万7000円
一方で一般雇用の月収は約26万4000円なので、いかに障害者枠の月収が安いのかわかるでしょう。
特に身体障害者を除く障害者の給料は約12万円しかありません。月に12万円しかもらえないと生活できないという人も多いでしょう。
一方で障害を隠して一般雇用で働くと月収26万円程度ももらえます。12万円の倍以上の金額があるので、ふつうに生きていれば生活にも困りません。
障害者枠を利用すると給料が安くなってしまうので、仮に働きやすい職場だと感じてもお金の問題で辞めざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。
デメリット2.求人数が少なく職種も限られる
障害者雇用枠はすべての企業に設けられているわけではありません。大企業のような特定の会社しか設けていないので、必然と障害者枠の求人数は減ります。
そのうえ、障害者枠は一般事務や清掃など比較的簡単な仕事が多いです。障害の問題でできることが限られてしまうので、どうしても職種が偏ってしまいます。簡単な職種に偏っていることも、障害者枠の給料が安い大きな要因です。
ちなみに、現在では障害者の法定雇用率が上がってきています。厚生労働省の発表によると、令和3年3月1日から民間企業の法定雇用率は2.3%に引き上げられました。少しずつ障害者を採用する企業も増えているので、以前よりは求人数も増えています。
とはいえ、まだまだ法定雇用率の数字は高くありません。障害者枠にこだわって仕事を探すと苦労することもあるので気を付けましょう。
オープン就労になるために必要な条件
オープン就労になるためには障がい者手帳が必要です。障がい者手帳には種類がありますが、以下のどの障害者手帳でも問題ありません。
- 身体障害者手帳
- 療育手帳(知的障害者向け)
- 精神障害者保健福祉手帳
自分が持つ障害に合った手帳を発行しましょう。手帳の発行はお住まいの自治体から手続きできます。
また、手帳の発行に当たって書類が必要になりますが、必要書類についても窓口でしっかりと聞いておきましょう。ちなみに、障害者手帳を発行するまでに数か月かかるので注意が必要です。
コメント:障害者手帳を取得しても提示義務はありません。提示するかどうかは任意です。障害者手帳を取得するデメリットは特にないので安心してください。
オープン就労に対するクローズ就労とは?
オープン就労が障害を公開することでしたが、その反対で自分の障害を隠して就職することをクローズ就労と言います。
一見するとクローズ就労にはあまりメリットがないように見えますが、クローズ就労にも良いところはあります。ではクローズ就労にどのようなメリット・デメリットがあるのか見ていきましょう。
クローズ就労のメリット
クローズ就労のメリットはこちらです。
- 求人数が多く職種も豊富
- 障害者枠より給料が良い
クローズ就労で働く場合は一般雇用枠で働くことになります。一般枠は障害を持っていない人が主に利用する枠なので求人数が多いです。求人数が多いので、よほどこだわらない限り仕事がないこともありません。
また、先ほどご紹介したように一般枠は給料が比較的高いです。月収20万円を超えることも多いので、生活にも困らないでしょう。
クローズ就労のデメリット
一方でクローズ就労のデメリットはこちらです。
- 通院や服薬の時間を取れない
- 業務内容を配慮してもらえない
- 障害を隠すのが精神的につらい
- 就労移行支援のような障害者向けの施設を利用できない
障害を隠して働く場合は障害に関する配慮を受けられません。たとえば、負担の軽い仕事を優先的に回してもらったり、服薬する時間を取ってもらったりするのは難しいです。結果的に働きづらさを感じやすくなるので、長続きしないかもしれません。
オープン就労とクローズ就労だとどっちが良いの?
クローズ就労にも、オープン就労とはまた違ったメリットとデメリットがありますが、オープン就労を選んで一般雇用枠で働くのがおすすめです。
一般雇用枠で応募して面接の際に障害について理解してもらうことで、障害の配慮と収入面の両方を獲得できます。
しかし一般枠において、面接の際に障害を持っていると伝えれば不利になりやすいです。障害を持っているけど問題なく働けることを伝えれば内定を勝ち取れますが難しいでしょう。
コメント:障害を持っていて一般企業への就労を目指す方におすすめなのが就労移行支援というサービスですよ。
オープン就労で就職・転職を目指す場合は就労移行支援がおすすめ
就労移行支援とは、障害を持つ人が一般企業への就労を目指す支援を行っている事業所です。就労移行支援に通うと、以下の支援を受けられます。
- 障害理解
- 障害を克服する訓練
- 就職・転職活動の支援
- 就労後の定着支援
就労移行支援の訓練を受けると、自分の障害に対する理解を深めたり、対処法がわかったりします。障害の対処法がわかれば、面接の際に不利になりづらいです。
また、就労移行支援では転職サポートも行っています。面接の際に、障害についてどのように伝えると良いのか教えてもらえるので、就労移行支援でしっかりと訓練すれば一般枠で就職するのも夢ではありません。
障害者の味方になってくれる就労移行支援では無料体験も行っているので、興味がある場合は一度体験してみると良いでしょう。
まとめ
オープン就労のメリットやデメリット、クローズ就労との違いについて解説してきました。
オープン就労は障害について配慮してもらえるところが大きなメリットです。しかしその一方で、給料が低い水準にあるので生活できないことも珍しくありません。
オープン就労の対極にあるクローズ就労は、自分が持つ障害を隠しながら働くことです。一般雇用枠で就職できるので給料は比較的高いですが、障害の配慮を受けられないこともあります。
このようにオープン就労とクローズ就労は正反対の特徴なので悩みますが、障害を会社に伝えて一般雇用枠で入社するのがおすすめです。障害を持っていると公表して一般枠で入社すると、給料と障害の配慮の2つを確保できます。
もし一般雇用枠での就職に苦労している方は就労移行支援の力を借りましょう。就労移行支援の訓練で鍛えれば、障害を持ちながら一般雇用枠での入社も可能です。
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