仕事を探している障害者の方は特例子会社の存在が気になるでしょう。特例子会社は障害者のために作られた企業なので、一般企業より働きやすいです。しかし、本当に特例子会社が障害者にとって働きやすいのか気になると思います。
そこで障害者が特例子会社で働くメリットとデメリットを紹介していきます。どんな人に特例子会社が向いているのかについても取り上げているので参考にしてください。
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特例子会社とは?
特例子会社とは、企業(親会社)が障害者雇用のために設置した子会社のことです。基本的に会社の障害者雇用率を上げるために設置されます。
従業員が多い企業は障害者の法定雇用率の影響で、より多くの障害者を雇用しなければいけません。そこで諸会社にとって働きやすい特例子会社を設置するというわけです。
特例子会社があることで会社の障害者雇用率が上がり、障害者からすると就職の選択肢が増えるので双方にメリットがあります。
特例子会社のメリット
特例子会社を利用する場合のメリットは以下の通りです。
- 障害を隠す必要がないから精神的に楽
- 職場がバリアフリー化されていて働きやすい
- 障害に配慮された作業を行える
- 一般企業より勤務形態が柔軟
- 仕事中の服薬や通院を考慮してもらえる
- 障害者同士で協力できる
では特例子会社を利用するメリットを解説していきます。
メリット1.障害を隠す必要がないから精神的に楽
特例子会社の従業員は障害を持つ人が大部分を占めるので、障害を隠す必要もありません。
一般企業で働く場合は、障害を公開すると不利になることも多いです。就職や転職の際に障害者という理由だけで採用されなかったり、社内で特別扱いされて周囲の目が気になったりします。
まだまだ一般企業で障害をオープンにするのはデメリットが多いので、障害を隠すことも仕方ないでしょう。しかし障害を隠すと別の問題が発生します。たとえば、障害のない人と比べられて能力が劣っているとみなされやすいです。
その点特例子会社は、障害を持っていることがふつうとも言える環境なので、わざわざ隠すメリットがありません。
障害を隠すのは精神的に疲れますが、特例子会社なら障害をオープンにしてもデメリットにならないので安心です。
メリット2.職場がバリアフリー化されていて働きやすい
特例子会社は障害者が働きやすいように環境を整えています。たとえば、特例子会社の場合は以下の設備が整えられています。
- 車いすでも働ける環境
- スタッフに手話通訳士がいる
- いつでも休めるように休憩室の完備
障害によって症状は異なりますが、基本的にどの障害でも対応した労働環境が整えられています。
一般企業の場合は障害がない人向けに作られているので、障害者だと苦労することも珍しくありません。しかし、特例子会社は一般企業とは環境がまったく異なるので、障害を持つ人でも問題なく働けるでしょう。
メリット3.障害に配慮された作業を行える
特例子会社は障害を持つ人でも作業できる簡単なものが多いです。たとえば、特例子会社では以下の業務を行います。
- オフィスや工場の清掃
- サポート業務
- メールの仕分け
- 印刷
- 工場製品の組み立て
いずれもシンプルな作業ばかりです。一般企業のような複雑な仕事がないので、日々の業務に負荷がかからず、ストレスもあまり感じずに働けるでしょう。
メリット4.一般企業より勤務形態が柔軟
特例子会社ではフレックスタイム制や時差勤務などの勤務形態を採用していることが多いです。
障害を持つ人の中には、毎日9時から17時のように決まった時間で働くのが難しいこともあります。
その点、特例子会社ではその人の体調に合わせて働けるような勤務形態を採用しています。障害の症状を我慢して働く必要がなく、自分の体調を第一優先に働けるのは障害者にとって大きなメリットです。
メリット5.仕事中の服薬や通院を考慮してもらえる
特例子会社は仕事中の服薬や日々の通院も考慮してもらえます。障害の理解がない一般企業だと、こっそり服用するか、我慢するしかありません。
しかし、特例子会社だと周りの人も障害者です。仕事中でも障害の症状が出た場合は服薬することが当たり前になっています。何の気兼ねもなく服薬や通院を選べるので体にも精神的にもやさしいです。
メリット6.障害者同士で協力できる
特例子会社は障害を持つ人が多いので、従業員同士でお互いに協力したり相談したりできます。障害者は理解者が少ないので孤独になりがちです。ひとりで悩みを抱えていると精神的につらくなってくるでしょう。
何か困ったことがあっても、気軽に相談できるのは特例子会社特有のメリットです。周りの人も障害を持っていることもあるので、先輩から良いアドバイスをもらえます。場合によっては、何でも話し合える友達になれるかもしれません。
仕事は人間関係も重要な要素ですが、特例子会社だと比較的人間関係の構築が楽なところもメリットのひとつです。
特例子会社のデメリット
特例子会社にはメリットがある一方で、以下のデメリットもあります。
- 給料が安い
- 昇給が期待できない
- 軽作業が多いのでスキルアップが難しい
- 単純作業ばかりでやりがいを感じづらい
続いて4つのデメリットを紹介していきます。
デメリット1.給料が安い
特例子会社は給料が基本的に安いです。 野村総合研究所が調査した結果によると以下の給料になっています。
年収 | 割合 |
101~150万 | 21.6% |
151~200万 | 33.5% |
201~250万 | 21.6% |
251~300万 | 10.8% |
301~350万 | 7.2% |
351~400万 | 3.0% |
401~450万 | 1.2% |
451~500万 | 1.2% |
500万以上 | 1.2% |
一般企業の平均年収が400~500万円なので、かなり低い水準にあることがわかります。しかも70%以上もの人が年収250万円以下です。
この結果を見ると特例子会社は決して給料の良い職場とは言えません。給料目的で特例子会社に就職すると失敗するので気を付けましょう。
デメリット2.昇給が期待できない
給料が安い傾向にある特例子会社ですが、昇給も厳しいです。特例子会社は一般企業と違って大きな給料アップを見込めないので、初任給とあまり変わらない給料でずっと働かなければいけません。
デメリット3.軽作業が多いのでスキルアップが難しい
特例子会社は昇給が見込めませんが、そもそも作業が簡単だからです。軽作業だとだれでもできるメリットがありますが、逆に言えばスキルがなくてもできるということになります。
だれでもできる作業は収益率が高くなく、そのうえスキルを身につけようと思ってもできることが限られているのでどうしようもありません。
特例子会社という特性上、スキルアップや昇給が難しいので気を付けましょう。
デメリット4.単純作業ばかりでやりがいを感じづらい
特例子会社は単純作業になりがちなので、あまりやりがいを感じられません。たとえば、毎日内職のようなことをしていると、精神的につらくなってくる人もいるでしょう。
仕事にやりがいを求めている場合は、特例子会社で勤めても長続きしないかもしれません。
特例子会社が向いている人の特徴
特例子会社のメリット・デメリットを考慮すると、特例子会社は以下の特徴に該当する場合におすすめです。
- 給料ではなく働きやすさを優先したい
- 障害のノウハウに優れる企業で働きたい
- 複雑な仕事よりルーティンワークの方が好き
- 障害を持つ同僚と励まし合いながら働きたい
労働に働きやすさを求めているや軽作業が苦痛ではない場合は、特例子会社が向いています。
特例子会社ではなく一般企業を目指すのもあり
特例子会社は障害に配慮された働きやすい環境が魅力ですが、給料が安い傾向にあります。データを見ても年収250万円以下の人が70%以上を占めているので厳しいでしょう。
収入を選ぶ場合はやはり一般企業で働くのが賢明です。しかし、障害を持つ人の中には一般企業で働く自信がない人も多いでしょう。一般企業で働く力が不足していると感じる場合は、就労移行支援を利用するのがおすすめです。
就労移行支援のメリット
就労移行支援とは障害を持つ人が一般企業へ就労することを目指して訓練する場所です。就労移行支援を利用すると、主に以下のメリットがあります。
- 自分の障害について理解を深められる
- 障害の影響で苦手とすることを克服できる
- 職員と二人三脚で訓練することができる
- 就職・転職サポートを受けられる
- 就労後の定着支援も受けられる
就労移行支援では職員のカウンセリングを通して、その人の特徴を見てもらいます。カウンセリング結果からその人が苦手とすることを克服し、最終的に一般企業へ長期就労することが目的です。
現状で一般企業に就労する自信がなくても、就労移行支援に通って訓練を積めば障害のない人と同じくらいのレベルで働けるようになるでしょう。
発達障害を持つ人はディーキャリアがおすすめ
障害の中でも発達障害を持つ人はディーキャリアがおすすめです。ディーキャリアには以下の実績があります。
- 就職後の職場定着率…93.4%(就職後6か月の数値)
- 就職時の平均給与…19.1万円
- 利用満足度…93.3%(2020/12/~2021/1のアンケートによる)
ディーキャリアは発達障害者向けの就労移行支援です。発達障害に関する知識が高く、6か月の職場定着率は93%もあります。ほとんどの人が6か月以上働いていることになるので、長期就労したい場合にぴったりです。
まとめ
特例子会社のメリットやデメリットについて紹介してきました。
特例子会社のメリットは障害を持っていても働きやすいところです。社内の環境や従業員がすべて障害者にとって働きやすい状態になっています。一般企業とは環境が異なるので、障害を持っていても自分らしく働けるでしょう。
しかし、特例子会社は給料が安いデメリットもあります。平均年収が250万円を下回ることも多いです。報酬目当てで特例子会社に就職すると、後悔する可能性が高いので気を付けましょう。
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