「なんだか職場や私生活で対人関係がうまくいかない」と悩む人も多いでしょう。発達障害を持っている人だと、障害が原因となって会話に苦手意識を持つこともあります。
対人関係の構築に困っている発達障害者におすすめなのが「ソーシャルスキルトレーニング」です。この記事では、ソーシャルスキルトレーニングの意味や効果、受講方法を解説しています。
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ソーシャルスキルトレーニングとは「社会生活で必要なスキル」のトレーニング
ソーシャルスキル(SS)とは、社会の中で生きていくためのスキルのことです。ソーシャルスキルを訓練によって磨くことをソーシャルスキルトレーニング(SST)と呼びます。
現代では日常生活や社会生活において人間関係は避けて通れません。たとえば、友人や上司、部下など人とのコミュニケーションは必ず発生します。対人関係においてソーシャルスキルを持っていると、上手にやり過ごせるでしょう。
しかし、発達障害を持つ人の中には、コミュニケーションをうまくできず、生きづらい思いをしていることも多いです。そこでトレーニングを受けてソーシャルスキルを身に付け、社会に順応していくということです。
ソーシャルスキルには6つのスキルがある
ひと言にソーシャルスキルといっても、主に6つのスキルに分けられます。
- 関係開始:相手との関係性を築くスキル
- 解読:相手の表情やしぐさから感情を読み取るスキル
- 主張性:嫌なことを断ったり意見をはっきりと伝えたりするスキル
- 感情統制:感情をコントロールするスキル
- 関係維持:その場に応じた行動を取って関係性を崩さないスキル
- 記号化:自分の感情を上手に伝えるスキル
上記のスキルは対人関係において重要なスキルばかりです。たとえば、解読のスキルを持っていると、相手の機嫌が悪いときも把握できるのでコミュニケーションが円滑に進みます。
6種類のソーシャルスキルをすべて持っていると、対人関係において困ることもないでしょう。
ソーシャルスキルトレーニングを受けると役立つシチュエーション
ソーシャルスキルを身に付けると以下のケースで役立ちます。
- 仕事や飲みの誘いを無難に断りたい
- 飲み会を途中で離脱したい
- 挨拶のタイミングがわからない
- 忙しそうにしている上司へ声をかけられない
- 会議中に反対意見を述べたい
- 頼まれると断れない
- 仲間内での雑談
発達障害のある人だけでなく、あらゆる人においてソーシャルスキルは役立ちます。そのためソーシャルスキルを身に付けることが社会活動において大切ですが、発達障害のある人は乏しい傾向にあります。
ソーシャルスキルが乏しい発達障害者の特徴
ソーシャルスキルは基本的に日常生活や仕事で身に付きます。そのため特別な訓練をする必要はありませんが、発達障害を持つ人は以下の特徴があるのでソーシャルスキルに乏しいことが多いです。
- 自分の気持ちをコントロールするのが難しい
- 周りの空気を読めない
- 簡単な計算ができない
続いて3つの特徴を詳しく紹介していきます。
特徴1.自分の気持ちをコントロールするのが難しい
発達障害を持つ人の中には、自分の気持ちを上手に管理できない人もいます。感情的に行動してしまうと、場の空気を乱すため対人関係もうまくいきません。
たとえば会話の最中にカッとなると、周囲は「この人は情緒が不安定だから気軽に話せない」と感じてしまうでしょう。会話を避けられるとソーシャルスキルトレーニングにならないので、ほかの人よりスキルが欠けてしまいます。
このように落ち着きがなかったりカッとなりやすかったりする人は、注意欠如・多動性タイプの発達障害(ADHD)です。ADHDの人は仕事のミスが増える傾向にあるので、仕事の際は注意する必要があります。
特徴2.周りの空気を読めない
周りの空気を読めない人は集団での会話が成立しません。場の雰囲気を乱すこともあるので、周りの人からも煙たがられるでしょう。ほかにも、周りの空気を読めない人は、暗黙のルールがわからないことも多いです。
はっきりとしたものでなければ理解できない場合は、自閉症スペクトラム障害(ASD)タイプの発達障害にあたります。ASDはコミュニケーションが苦手な人も多いので、必ずソーシャルスキルトレーニングを受けたいところです。
特徴3.簡単な計算ができない
発達障害者の中には九九や繰り上がりなどの簡単な計算ができないタイプもいます。簡単な計算ができないと仕事に支障をきたし、業務全体が円滑に進みません。
仕事でミスをすると周囲からの反応も冷たくなり、コミュニケーションをとる機会も減ってきます。このように簡単な計算ができない学習障害タイプの発達障害の人も、ソーシャルスキルが劣る傾向にあります。
発達障害者がソーシャルスキルトレーニングを受ける方法
発達障害のある人がソーシャルスキルトレーニングを受講する方法は以下の通りです。
- 施設を選ぶ
- 施設へトレーニングの受講を申請する
- ソーシャルスキルトレーニングを開始する
では具体的なやり方を3つのステップに分けて紹介していきます。
ステップ1.施設を選ぶ
専門的なソーシャルスキルトレーニングは基本的に個人で行えないので、訓練できる場所を選ばなければいけません。トレーニングはさまざまな場所で実施していて、たとえば以下の場所で行っています。
- 精神科デイケア
- 地域障害者職業センター
- 就労移行支援事業所
- 就労継続支援A・B型事業所
- 自立訓練事業所
特別どこが良いということもありませんが、場所によって受講条件が決まっています。たとえば就労移行支援だと以下の条件を満たさなければいけません。
- 身体・知的・精神障害や難病を持っている方
- 企業での就労または開業を希望する方で、就労が可能と見込まれる方
- 原則18歳以上から65歳未満の方
各施設には上記のような条件が設定されているので、選ぶ際はチェックしておきましょう。
ステップ2.施設へトレーニングの受講を申請する
ソーシャルスキルトレーニングを受けるための施設を選んだあとは申請しましょう。申請方法は施設によって異なりますが、基本的に施設へ連絡すれば案内してもらえます。
申請の際は向こうから指示があるので、言う通りに進めていきましょう。手続きが完了したあとは指定の日付に施設を訪れて、トレーニングを開始していきます。
ステップ3.ソーシャルスキルトレーニングを開始する
施設を訪れるとSSTトレーナーや心理学の専門家と一緒に、以下のようなソーシャルスキルトレーニングを受けられます。
- ゲーム:ゲームを通してルールや共同作業のやり方を覚える
- ディスカッション:参加者同士で意見を出し合う
- ロールプレイ:状況や役割を設定して現場の対応力を身に付ける
トレーニング内容は施設やその人の状態によって異なります。たとえばロールプレイをソーシャルスキルトレーニングとして実施する場合は、以下のように進んでいきます。
- 課題を決める
- 本人と練習相手が実際に役を演じてロールプレイする
- ほかの参加者は良かった点ともっと良くするための方法を提案する
- アドバイスを聞いた本人が良いと思ったものを取り入れて再度ロールプレイする
- 場合によっては練習した内容を復習して次回につなげる
実際に役を演じることで、よりリアルな対処法を学ぶことができます。現状、課題のある発達障害者でもソーシャルスキルトレーニングを積めば、劇的な変化を感じられるでしょう。
ソーシャルスキルトレーニングはディーキャリアで受けるのもおすすめ
ソーシャルスキルトレーニングはさまざまな場所で受けられますが、発達障害を持っている場合はディーキャリアを利用するのがおすすめです。
ディーキャリアとは、発達障害に特化した支援を行っている就労移行支援事業所です。就労移行支援事業所では、障害のある人が一般企業で働くことを目的にサポートを実施しています。そのため障害のせいで働きづらいと感じている人にはおすすめの福祉施設です。
就労移行支援の中でもディーキャリアは発達障害のある人に特化してサポートしているので、ほかの事業所よりノウハウがあります。知識や経験の深さは実績に出ていて、いずれも優秀な数値です。
- 就職後の職場定着率…93.4%(就職後6か月の数値)
- 就職時の平均給与…19.1万円
- 利用満足度…93.3%(2020/12/~2021/1のアンケートによる)
ここまでの実績を残せているのも、サポート内容の質が高いからでしょう。「より質の高いソーシャルスキルトレーニングを受けたい」という人はディーキャリアを利用してみてください。
まとめ
ソーシャルスキルトレーニングの意味や発達障害との関係性について紹介してきました。
ソーシャルスキルとは社会生活で生き抜くために必要なスキルのことです。基本的に日常生活や社会生活において自然と身に付きます。
しかし、発達障害の場合は社会にうまくなじめないことが多く、ソーシャルスキルを日常で身に付けるのが困難です。その結果、大人になってスキルの差が開き、対人関係に苦戦します。
発達障害の人が社会で活躍するためには、ソーシャルスキルトレーニングを積むことが大切です。スキルさえあれば、張った巣障害の人でも社会を生き抜くことができます。
ソーシャルスキルトレーニングは就労移行支援や精神科デイケアで受けることが可能です。「社会にうまくなじめない」と悩む発達障害者は、トレーニングを受けてソーシャルスキルを覚えましょう。
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