企業の中には障害者を雇うこともありますが、障害者を雇うにあたって気になるポイントは離職率です。
障害者の離職率は高いと言われているので、なかなか採用に踏み込めないと悩むこともあるでしょう。しかし、なぜ障害者の離職率は高いと言われているのでしょうか。
そこでこの記事では、障害者雇用の離職率や離職する5つの原因を紹介しています。離職率を下げる6つの取り組みも解説しているので、障害者を雇う予定の場合は参考にしてください。
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障害者雇用の離職率とは
障害者職業総合センターが2017年に行った「障害者の就業状況等に関する調査研究」によると、障害別雇用の定着率は以下のようになっています。
障害名 | 3ヶ月後の定着率 | 1年後の定着率 |
身体障害 | 77.8% | 60.8% |
知的障害 | 85.3% | 68.0% |
精神障害 | 69.9% | 49.3% |
発達障害 | 84.7% | 71.5% |
障害者職業総合センターの調査は定着率を示した数字なので正確ではありませんが、上記のデータを参考にすると障害者雇用の離職率は以下の結果になります。
- 3ヶ月以内の離職率…15~30%
- 1年後の離職率…30~50%
厚生労働省が行った「令和2年上半期雇用動向調査結果」によると、障害を持たない人の平均離職率は8.6%とされています。
障害者雇用の離職率は低くても15%なので、いかに障害者雇用の離職率が高いのかわかるでしょう。
障害者の離職率が高い5つの原因
障害者が会社を辞める原因は主に以下の5つです。
- 職場の雰囲気や人間関係が合わない
- 賃金や労働条件が合わない
- 仕事が向いていない
- 会社からの配慮が不十分
- 障害の症状が悪化した
では障害者が会社を辞めたいと感じる5つの原因を解説していきます。
原因1.職場の雰囲気や人間関係が合わない
障害を持っている人の中にはコミュニケーションをとるのが苦手な方も多いです。仕事をするにあたって、円滑にコミュニケーションが取れないと会社になじめません。
たとえば、会社に属していると仕事を任せたり、逆に相手に作業を頼んだりすることがあります。作業に関するコミュニケーションが上手くいかないと、相手も困ってしまうでしょう。
このように、さまざまな人が所属する会社ではコミュニケーション能力が必須です。円滑な会話を苦手とする障害者の場合は会社になじめず、孤独感に耐え切れずそのまま離職してしまいます。
原因2.賃金や労働条件が合わない
障害者雇用の場合は障害を持たない人と給料に差があります。「平成30年度障害者雇用実態調査」によると障害者雇用で働く人の給料は以下の通りです。
- 身体障害者:約21万5000円
- 知的障害者:約11万7000円
- 精神障害者:約12万5000円
- 発達障害者:約12万7000円
障害者の給料が10万円前後でとどまることが多い一方で、一般雇用の月収は約26万4000円もあります。
一般雇用と比べると障害者雇用の給料が安いので、給料アップを期待して離職する人もいます。
原因3.仕事が向いていない
障害を持つ人の中には、自分の得意分野を理解していないこともあります。実際に働いてみて、自分の苦手分野を知ることも多いです。もし自分に合わないと感じた場合は、自分には対応できないと諦めてそのまま離職してしまいます。
原因4.会社からの配慮が不十分
障害者が入社して苦労する大きなギャップは、会社の障害に関する理解度です。自分は障害のことについて詳しく知っていますが、会社が自分と同等の知識を持っていることはほとんどありません。
障害に対する理解度が自分と会社で異なることによって、イマイチ理解してもらえないことも多いです。
たとえば、障害者の中には小学生レベルの計算をできない人もいます。障害を持っていない人からすると、大人なのに小学生の計算ができないのは理解できません。
このようなギャップが発生することで障害者は自信を失ったり、ストレスを感じたりします。障害に対して何の対策もしてくれない場合、障害者は働きづらさを感じて離職する可能性が高いです。
原因5.障害の症状が悪化した
早期に離職する人の中には、体調を崩すケースもあります。体調の悪化は仕方ないと思いがちですが、体調を崩した原因は会社にもあります。
会社で無理をさせた結果、体に負荷がかかり体調を壊すこともあるので、企業は障害者に配慮することが大切です。
企業が障害者の離職率を下げるためにすべきこと
障害者の離職率を下げるために効果的な対策は以下の通りです。
- その人の能力に適した仕事を与える
- 能力や貢献度に応じて昇給や賞与を与える
- 会社全体で障害者の勉強会を開き理解を深める
- コミュニケーションを取りやすい環境にする
- 体調が悪いときは休みを取れる社内制度にする
- 支援機関へ障害者雇用について相談する
続いて6つの対処法を詳しく解説していきます。
1.その人の能力に適した仕事を与える
障害者の中には仕事ができないとあきらめて離職する人も珍しくありません。障害者に無理なく働いてもらうためにも、その人に合った業務を与えましょう。
障害者の場合、人によってできることに差があります。その人が何を得意としているかは実際に試さないとわかりません。いろいろ試してみると、その人の適職が見つかるでしょう。
2.能力や貢献度に応じて昇給や賞与を与える
障害者の離職率を下げるためには、通常の従業員同様に障害者をしっかりと評価する環境が必要です。
障害者はできることに差があるので冷遇されがちですが、何のご褒美もなければ辞めてしまいます。
障害者と障害を持たない人との差をなくすためにも、しっかりと仕事をしている人には昇給や賞与で評価してあげましょう。昇給や賞与を与えることで給料アップにつながるので、お金の不満も軽減できます。
3.会社全体で障害者の勉強会を開き理解を深める
障害者の離職を避けるためには、会社全体で障害者について知る必要があります。
障害について社内全体で知ることで、障害者に対して配慮することが可能です。障害について配慮された環境だと障害者にとっても働きやすく、離職を避けられるでしょう。
4.コミュニケーションを取りやすい環境にする
コミュニケーションや人間関係の問題で離職する障害者も多いので、話しやすい空気を作りましょう。
たとえば、定期的に相談会を開いてあげて、そこで仕事や障害に対する悩みを聞いてあげると効果的です。
また、悩みを聞くときは会社側から積極的に話を聞いてあげましょう。こちらから話を持ちかけると誠意が伝わるため、障害を持つ人からの信頼も築けます。
5.体調が悪いときは休みを取れる社内制度にする
障害者の中には、日々の体調が安定しないこともあります。無理させるとそのまま体調を崩して離職に追い込まれるので注意が必要です。
障害者にとって働きやすい会社にするためにも、体調が悪い日には無理をせず、休ませてあげる制度を作りましょう。
無理せず休める制度になっているだけで、障害を持つ人にとっては働きやすいと感じます。
ただ、障害者向けの社内制度を作る際は、しっかりと会社全体で認めなければいけません。休んだことに対して責めると、障害を持つ人が休みにくくなるので気を付けましょう。
6.支援機関へ障害者雇用について相談する
どうしても社内だけで対応し切れない場合は、支援機関に相談しましょう。障害者はその人によって症状が異なるので、知識の薄い会社単体では手に負えないケースも多いです。
一方で支援機関の協力を仰げば、障害者のプロが対処法を教えてくれます。自分たちでは思いつかない対処法も提示してくれるので、効率的に障害者にとって働きやすい会社へと成長できるでしょう。
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- 離職率が高いから定着率を上げるための体制を作りたい
- 初めて障害者雇用を取り入れたから何をすべきなのか知りたい
- 障害者の採用活動を行っているけど順調に進まない
もし上記のような悩みがある場合は、長年障害のある人の就労をサポートしてきたディーキャリアまでご相談ください。
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まとめ
障害者の離職率や離職する理由を紹介してきました。
障害者の離職率は15~30%と高い水準にありますが、障害者が離職する主な原因は会社が障害について理解していないからです。なかなか会社の理解を得られず、やむなく退職を選んでしまいます。
障害者の離職を防ぐためにも、会社全体で障害の理解度を深めましょう。障害について会社全体で向き合うと、障害者にとって居心地が良い会社に近づきます。
会社単体で手に負えない場合は支援機関へ相談するのもおすすめです。支援機関に相談すれば、具体的にどのように取り組めば良いか教えてもらえるので取り組みやすくなります。
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