障害が理由で一般企業への就職が困難な方をサポートし、就職場所を探したり職業定着支援を行ったりします。
就労移行支援を受けるためには、事業所に対して行う手続きと市区町村の役所に対して行う手続きとの2種類の手続きをクリアする必要があり、非常に煩雑です。
そこで今回の記事では就労移行支援の手続きについて、手続きに必要な書類、手続きの場所などを解説し、どのような流れで就労移行支援制度の受給に至るのかをご紹介します。
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就労移行支援制度の手続きには何が必要なの?
就労移行支援制度を受給するためには、「障害福祉サービス受給者証」と「サービス利用等計画書」が必要です。
受給者証はお住まいの市区町村の役所で発行手続きを行う必要があり、手続きの際にはご自身の障害や現在の状況について事細かな説明を求められます。
さらに、受給者証の発行の際も専用の書類を用意しなければなりません。
したがって、就労移行支援制度の手続きの前に先に事業所を見つけて、見学を済ませた上で手続きを行うべきだと言えます。
先に事業所を見つけておけばスタッフが煩雑な手続きのサポートをしてくれるため、手続きが苦手な方でも安心です。
これから通所する予定の事業所が決まっていない方は先に見学・体験してみてくださいね。
詳しくは「就労移行支援の見学について」の記事で紹介しているので参考にしてみてください。
就労移行支援制度受給までの手続きの流れ
就労移行支援制度を受給するまでには、大きく分けて8つのステップを踏む必要があります。今回は就労移行支援事業所探しから受給者証の発行までの流れを解説します。
- 事業所を探す
- 事業所の体験・見学にいく
- 事業所を比較検討して、利用先を決める
- 受給者証の申請
- サービス等利用計画書の作成
- 受給者証の発行
- 利用開始
手続きの流れ1. 就労移行支援制度を受給する事業所候補を見つける
今後の利用手続きをスムーズにするためにも、就労移行支援制度を受給する事業所を候補選びを最初に行いましょう。
事前に見学・体験しておけば事業所スタッフが利用手続きに必要な書類や手続き方法をサポートしてくれます。
事業所選びに迷った場合はこちらの記事も参考にしてみてください。
手続きの流れ2. 就労移行支援事業所の体験・見学へ行く
通所する就労移行支援事業所の候補を決めたら、ホームページから資料請求を行って体験・見学に行きましょう。
就労移行支援事業所から送られてくる資料には、事業所のサポート内容やカリキュラムが記載されています。ご自身の障害に合った事業所を選んでくださいね。
手続きの流れ3. 就労移行支援事業所を比較検討して、利用先を決める
就労移行支援事業所選びの際は複数の事業所を比較して、自分に最も最適なカリキュラムを選択するべきです。
体験や見学会へ行った結果を踏まえて、これから自分が通所する事業所を確定させましょう。
手続きの流れ4. 就労移行支援の受給者証の申請手続きをする
就労移行支援制度に必要な受給者証の申請手続きでは以下のステップを踏みます。
- 今担当職員による認定調査
- サービス等利用計画案の作成と提出
- 暫定支給の決定
- 個別支援計画の作成
- 就労移行支援制度の支給決定と受給者証の交付
認定調査や利用計画案を作成するには自分の障害や状況について深く理解しておく必要があります。自分のことを誰か説明することはとても難しいです。
困ったときに事業所スタッフを頼ることができれば大変心強いですね。
手続きの流れ5.サービス等利用計画案の作成と提出
就労移行支援制度の需給に必要な受給者証が交付されたあとは、サービス等利用計画案を作成します。
この計画案は利用者本人が作成する場合と、指定特定相談支援事業者が作成する場合があります。
こちらもやはり、就労移行支援事業所のスタッフとのカウンセリングを通して作成のサポートをしてもらうことが推奨されます。
他の誰かに自分のことを分析してもらえば、自分一人では気づくことの出来なかった新たな可能性が見出せるかもしれませんね。
手続きの流れ6.暫定支給の決定
2006年に制定された障害者自立支援法では「暫定支給決定」という仕組みが設けられています。
これは就労移行支援制度を本格的に受給する前に、受給者本人が制度利用の意思があるかどうかを確認する、いわば「お試し期間」のようなものです。
暫定支給の期間は最大で2か月間まで延長され、利用者は支援制度を体験利用することが出来ます。
注意:就労移行支援制度の標準利用期間(24か月間)のうち最初の2か月に含まれます。
特別支援学校へ在学中の方は暫定支給を受けられる?
暫定支給決定は特別支援学校在学中でも受給可能で、夏休みなどの長期休業期間を活用します。
特別支援学校に在学されている方が暫定支給を受ける場合、実際に就活をするのではなく、就労や職業適性についての課題を早い段階から見つけておくという目的の方が強いです。
これからの指針や卒業後の進路選択に役立ちます。
手続きの流れ7.個別支援計画の作成
暫定支給期間が終わり、本格的に就労移行支援制度を受給することが確定すれば個別支援計画の作成を行います。
これは利用者本人の将来の目標や課題、課題解決のプロセスなどを記載し、就労移行支援事業所のスタッフによる共同作業をより円滑なものにするために作成します。
- 今就職までの基本的なコースの決定
- 利用者本人の具体的な目標設定
- 利用者本人が納得できるような、具体的でわかりやすい計画
- 利用期間中の計画更新の積み重ね
就労移行支援事業所の利用目的が定まらない状態で通所したところでその効果は極小です。
「いつまでに」「どこまで」進むのかという目業を明確にすることで、ゴールに達するまでの手順を明確にすることができます。
今なお、就労移行支援事業所の担当スタッフが途中で交代した場合の引継ぎを円滑なものとするために作成する意味合いもあるようです。
手続きの流れ8.就労移行支援制度の支給決定と受給者証の交付
個別支援計画が受理されれば、就労移行支援制度の支給が決定します。受給所の申請から支給までは1か月から2か月ほど時間を要するケースが多いです。
お住まいの市区町村によっても左右されますが、決して短い期間ではないので、何かあった時のために頼ることができるサポーターは常に用意しておくべきだと言えるでしょう。
就労移行支援の手続きに関連する他の情報
さて、ここからは手続き以外にも知っておいてほしい就労移行支援制度の情報についてご紹介します。
就労移行支援は24か月間にわたって提供される長期間のサービスです。これから自分が通所する事業所選びに失敗することのないよう、今のうちに知識を身につけておきましょう。
就労移行支援事業所の対象者について
就労移行支援制度は18歳以上で、特定の障害や難病を抱えている方が対象になります。
- 精神障害:統合失調症、うつ病、躁うつ病(双極性障害)、不安障害、適応障害、てんかん、アルコール依存症など
- 発達障害:注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、アスペルガー症候群、自閉症、広汎性発達障害など
- 身体障害:難聴・聴覚障害・視覚障害・肢体不自由・内部障害など
- 知的障害:知的障害など
- 難病・その他:その他難病(障害者総合支援法の対象疾病)
障害を証明するためには障害者手帳が必要です。
手続きの際には役所へ障害者手帳を提出する必要がありますが、医師の診断書を代わりに提出することも可能な場合があります。詳しくはお住まいの市区町村の役所へお問い合わせください。
就労移行支援の利用料金について
就労移行支援制度を利用するには料金がかかります。ただし、世帯の収入に応じて国が利用金を負担してくれる場合もあります。詳しくは以下の表を参考にしてください。
世帯の収入状況 | 負担上限月額 | |
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
一般1 | 市町村民税非課税世帯 | 9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
実際には約9割の方が0円(無料)で就労移行支援制度を利用しているようです。
また、利用料金は就労移行支援事業所に通所した一か月あたりの日数によっても変動します。上限額以上の金額を請求されることはありません。
就労継続支援A型・B型との違いの選び方
本記事で主に扱った就労移行支援のほかにも、就労継続支援という制度があります。就労継続支援は一般企業で継続的に労働することが難しい方をサポートする制度です。
- カリキュラム自体に賃金が発生するため、実際にお給料をもらいながら就労継続に必要なスキルや知識を身に着けることが出来ます。
また、就労継続支援にはA型とB型があります。
資料引用:就労継続支援どっとこむ
A型とB型には雇用契約があるかどうかの違いが存在し、それによって平均月給も大きく異なります。利用可能な年齢にも違いがあるためチェックしておきましょう。
- 就労継続支援A型:65歳まで利用可能
- 就労継続支援B型:年齢制限なく利用可能
詳しくは「就労移行支援 a型 b型について」の記事で紹介しているので参考にしてみてください。
就労移行支援の手続きまとめ
本記事では就労移行支援制度の利用に必要な手続きの種類と、その流れについて解説しました。
利用手続きは役所と事業所へ別々に行う必要があり、非常に煩雑です。
利用手続きを最初に申請してから受給が決定するまでには2か月ほどの期間を要するため、何かあった時のためにも事業所スタッフに頼れる状況を作っておくことがおすすめです。
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