事務といえば、専門的な能力を求められるケースが少ないことから障害を持つ人の中でも人気の仕事です。
しかし、いざ事務で働いてみると「思ったより仕事内容が複雑で向いていない気がする」と感じる発達障害者もたくさんいます。ではなぜ発達障害者の中には、事務が向いていないと思う人がいるのでしょうか。
この記事では、発達障害者が事務に向かない4つの理由と対処法を紹介していきます。発達障害に向いている仕事も紹介しているのであわせて確認してください。
発達障害者が事務職に向かないと言われる理由
発達障害を持つ人は以下の理由から事務職に向いていないと言われます。
- マルチタスク能力が求められる
- 会話能力がなければ務まらない
- データ入力で失敗できない
- ケアレスミスが多い
では4つの理由を具体的に紹介していきます。
理由1.マルチタスク能力が求められる
事務職は専門的なスキルを求められませんが、幅広い能力が求められます。たとえば一般的な事務職だと、以下の業務をすべてこなさなければいけません。
- データ入力
- 労務や経理などの庶務
- 電話対応
- 来客対応
- 請求書や見積書などの発送
- その他の書類整理
上記の仕事をすべてこなすとなると大変です。たとえば、データ入力している際に電話が来たら、電話対応しなければいけません。電話対応が終わっても、請求書の発送をいきなり伝えられることもあります。
このように事務は幅広い仕事を同時にこなす必要がある簡単な仕事ではありません。事務は専門的な能力を求められないと思われがちですが、マルチタスクが苦手な発達障害者にとっては厳しいと言えます。
理由2.会話能力がなければ務まらない
事務は来客や電話対応する必要があるのでコミュニケーション能力は必須です。たとえば、社外の人が会社を訪れた際は、事務が対応するケースもあります。来客時にうまく対応できないと会社自体の評判も落ちるでしょう。
また、事務は社内の人と会話する機会も多い仕事です。仕事内容をほかの社員に伝えたり、上司と相談しながら会議の資料を作ったりすることもあります。
このように事務はコミュニケーション能力が求められる仕事です。発達障害を持つ人の中には会話を苦手とする人もいるので、事務職に就職して苦戦することは大いにありえます。
理由3.データ入力で失敗できない
事務の仕事ではデータ入力をすることもあります。データ入力に関しては、そこまでスキルを求められません。パソコンを使ってタイピングできればできるレベルの仕事です。そのためスキルがない障害者でも十分にこなせます。
しかし、データ入力では正確性が重要です。仮に数字を一桁間違うだけで結果が大きく異なり、会社の収益に大きな問題が生じます。
データ入力は間違えずにデータを打つことが大切ですが、発達障害の中にはささいなミスをするタイプもいます。不注意な発達障害者にとって「間違えてはいけない」というプレッシャーは相当なものです。
理由4.ケアレスミスが多い
発達障害を持つ人の中には、仕事におけるケアレスミスが多い人もいます。ささいなミスであれば会社に及ぼす影響も大きくありません。
ただ、事務の仕事内容の中には重要な業務を務めるケースもあります。たとえば、請求書の作成やデータ入力などは間違えられない仕事です。ささいな間違いから社内で大きなミスに発展する可能性もあります。
事務にはさまざまな仕事がありますが、正確性が求められる仕事だと発達障害の人にとっては厳しいでしょう。
発達障害者が事務職で働くときのポイント
発達障害を持つ人が事務職を目指す場合は、以下のポイントをおさえておきましょう。
- 自分専用のマニュアルを作成して手元に置く
- タスク管理できるアプリを使って働く
- 事務職の種類や会社の規模を選ぶ
続いて3つのポイントを解説していきます。
ポイント1.自分専用のマニュアルを作成して手元に置く
ケアレスミスを防ぐためにもマニュアルは大切です。作業前にマニュアルを見ておけば、大きなミスを防げる可能性は上がります。
マニュアルを見るにあたって、自作することが特に重要です。たいていの会社にはマニュアルが備えられていますが、会社のマニュアルは障害がない人向けに作られています。障害のある人にとって、会社のマニュアルは役立たないでしょう。
マニュアルの効果を最大限発揮するためにも、自分専用のマニュアルを作ることが大切です。自分用のマニュアルがあれば、よく間違うポイントをまとめることもできます。マニュアルの自作はミスを減らす際に効果的なのでおすすめです。
ポイント2.タスク管理できるアプリを使って働く
事務で働く場合は予定を管理することが大切です。予定があいまいなまま進めると「次は何をするんだっけ?」と困ります。特に発達障害者の中には優先順位を付けるのが苦手な人もいます。
事務を効率的に進めるためにも、1日の流れを予定管理アプリに記録しましょう。アプリを使ってスケジュールをまとめておけば優先順位も明らかになって、仕事を進めやすくなります。
予定管理アプリに関しては無料で使えるので、まずは自分が探しやすいアプリを探してみましょう。
ポイント3.事務職の種類や会社の規模を選ぶ
同じ事務職といっても作業内容は会社によって異なります。仕事先を選ぶ際は業務内容を見て、自分でこなせるかどうか判断するのも良いでしょう。
また、事務職の仕事内容は会社の規模によっても異なります。事務職が少ない企業だと多くの仕事を任されやすいですが、事務の人数が多いとある程度業務内容も減ります。
あまり複雑な事務作業を任されたくない場合は、企業の規模が大きい会社に絞って求人を探すのも良いでしょう。
発達障害者が事務職を目指すなら「ディーキャリア」を利用するのがおすすめ
発達障害を持っていて事務職を目指したいなら就労移行支援「ディーキャリア」を利用するのもおすすめです。ディーキャリアは発達障害に特化した支援を実施しています。ほかの就労移行支援より発達障害のノウハウが豊富で、実績も優秀です。
- 就職後の職場定着率…93.4%(就職後6か月の数値)
- 就職時の平均給与…19.1万円
- 利用満足度…93.3%(2020/12/~2021/1のアンケートによる)
ディーキャリアの中でも職場定着率の高さが優秀です。一般的に障害を持つ人は会社になじめないことから早期で退職に追い込まれます。
その点ディーキャリアは就職から6か月後の定着率が9割越えです。ディーキャリアで訓練を積んだ大部分の人が長期就労することに成功しています。
「転職に成功して早期退職する人生を歩みたくない」という人は、ディーキャリアを利用してみましょう。
事務職以外で発達障害者が向いている仕事
特に事務職に対してこだわりがない場合は、ほかの職種を目指すのもおすすめです。ただ、発達障害の人に向いている仕事は、障害の種類によって異なります。
ではそれぞれの発達障害にどのような仕事が向いているのか紹介していきます。
自閉症スペクトラム(ASD)に向いている仕事
自閉症スペクトラム(ASD)とは、コミュニケーションが極端に苦手だったり、独自のこだわりを持っていたりする発達障害です。事務ではコミュニケーションが求められるので、ASDの人には一般的に事務職は向いていません。
ASDは以下のような仕事が向いています。
- WEBライター
- デザイナー
- プログラミング
- ライン制の工場
ASDの人にはひとりでコツコツと作業できる仕事が向いています。なるべく会話が発生せず、自分のこだわりを発揮できる仕事だと成功できるでしょう。
ASDの特徴や向いている仕事については「ASDを持つ人の特徴とは|どんな仕事が向いてないの?」でも解説しています。
注意欠如・多動症(ADHD)に向いている仕事
注意欠如・多動症(ADHD)とは以下の特徴がある発達障害です。
- 集中力が長続きしない
- 注意が長続きしない
- 長時間落ち着けない
ケアレスミスが多い人や同じことを長時間続けるのが厳しい人はADHDです。大人になってから発症することも多く、社会で生きづらさを感じる人もたくさんいます。
ADHDの場合は以下の仕事がおすすめです。
- デザイナー
- プログラマー
- 建築家
- スポーツ選手
- 営業
上記のような個性を生かせる仕事だと、自分の持つ強みを活かせます。ADHDは得意分野なら高い集中力を発揮するので、好きなことを仕事にするのも良いでしょう。
ADHDに向いている仕事は「ADHDを持つ人の向いてる仕事とは|長続きさせる秘訣も紹介」で詳しく紹介しているので参考にしてください。
学習障害(LD)に向いている仕事
学習障害(LD)とは、特定の能力に苦手意識を持つ発達障害です。大学を卒業できるレベルがあっても、以下のような簡単なことができないケースもよくあります。
- 読み書き
- 聞く・話す
- 小学生程度の計算
簡単なことができないことから「大学を卒業しているのにこんな初歩的なこともできないのか」と怒られることもあるのが学習障害です。
そんな学習障害の人には以下の仕事が向いています。
- デザイナー
- アニメーター
- カメラマン
- 役者
- イラストレーター
学習障害の場合も自分の感性を生かせる仕事だと活躍できます。
ただ、学習障害の場合は苦手に対する準備が整っていれば、通常通りに仕事することも可能です。たとえば、計算が苦手でも計算機を使える仕事であれば、ほかの人と同じように働けます。
学習障害の人は自分の好きな仕事を探しつつ、苦手なことを対策できる環境にあるか確認しておきましょう。
まとめ
発達障害が事務職に向かない理由と対処法を紹介してきました。
発達障害はコミュニケーションが苦手だったり、ケアレスミスが多かったりします。いずれも事務職には必須の能力なので、発達障害に事務職は向いていないと言われています。
ただ、発達障害でも事務職として働くことは可能です。ケアレスミスが多い人は事前に作成したマニュアルを確認すれば、失敗するリスクを減らせます。
発達障害と事務職の相性が最悪ということはないので、事務にあこがれがある人は目指すのも良いでしょう。
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